第10回中央図書館企画展示 『美の魔術師 ウィリアム・モリス』
19世紀イギリスを代表する芸術家、思想家のひとりであるウィリアム・モリス(William Morris 1834-1896)は詩人、装飾デザイナー、近代初のプライベート・プレス「ケルムスコット・プレス」の創設者、社会主義思想家、そして歴史的建造物の保存運動家など様々な面を持った実に魅力的な人物です。
このたびの企画展示では、後世に残る数々の美本を生み出し、20世紀のブック・デザインにも大きな影響を与えた「ケルムスコット・プレス」の印刷本をモリス自身の著作を中心に、またイタリア・トスカーナ地方の小さな町サン・ジミニャーノ(1990年「世界遺産」に登録)の市庁舎保存を訴えたモリス直筆の草稿や、34部のみが私家版印刷され、わが国では当館のみが所蔵する『社会主義に関する書簡』(Letters on Socialism)、そしてモリス考案による美しい装飾デザイン画(複製)などを展示いたします。
「ケルムスコット・プレス」の印刷本は当館に限らず美術大学などいくつかの大学図書館でも所蔵しておりますが、モリスの全体像を俯瞰できるコレクションとしてはわが国屈指のものと自負しております。この機会に是非ご覧下さい。
(写真はモリス考案のカーペット・デザインの一つ(出典:The Art of William Morris / by Aymer Vallance))