国際水環境理工学人材育成プログラム 中国広州にてシンポジウムを開催
2012年3月23、24日の2日間にわたり、中央大学「国際水環境理工学人材育成プログラム」(以下「本プログラム」)のコンソーシアム校である中国・中山大学にて「国際水環境理工学研究 広州シンポジウム」を開催しました。
このシンポジウムは、日本及び中国での水に関する現在の課題とこれに対する解決策、最新の技術等の情報交換を行うことを目的として開催するものであり、このシンポジウムの成果を本プログラムのカリキュラムにも反映することにより、より実践的な人材育成に寄与することが期待されます。今回のシンポジウムは昨年3月にコンソーシアム校である中国・清華大学にて開催した「北京シンポジウム」を更に発展させた内容で実施しました。
日本側からは本プログラムの連携企業・公的機関関係者、中国側からは、中国科学院(注:「中国科学アカデミー」)の院士を始めとする水環境分野の著名な研究者、政府関係者、中山大学教員及び学生など、延べ約200名が参加しました。
今回は、変化する環境下における水資源利用や水処理の、特に技術と政策に焦点を当て、今後の在り方をテーマに諸課題の解決方策や今後の研究等の方向性について日中の産学官関係者が発表・交流を行いました。
冒頭、ホスト校の中山大学顔光美副学長から、中国水環境分野切っての著名な研究者の参加を得て、このようなシンポジウムを協定校である本学と共催できることは大変喜ばしく、シンポジウムが実りあるものとなるよう期待する旨挨拶がありました。
続いて、プログラムの取組実施責任者である理工学部山田正教授が、2009年10月の第二回日中韓サミットを受けこのプログラムは創設され、国際的な水環境分野で必要とされる人材の育成に取り組んでいること、水問題はエネルギーや食糧問題と不可分な関係にあり、今回のシンポジウムで、日中双方がこれらを総合的にとらえ学ぶ場としたいと挨拶しました。
中国側からは、中国科学院の院士である王光謙教授が挨拶に立ち、共通の文化、水問題をもつ日本から優れた技術を学ぶことは意義がある。人類の生活や活動の安定のためには、水にまつわる歴史を振り返り、データを明らかにし、科学的に問題取り組むことが重要であると述べました。
続いて、国家自然科学基金委員会李満江主任が挨拶しました。李主任挨拶の中で、2011年度に国家自然科学基金委員会に対し申請された基礎研究と科学技術人材助成プロジェクトの批准状況に触れ、中でも水環境関連プロジェクトの比重が年々高まっていることを紹介しました。
続く、基調講演や発表で、日中双方の講師が立ち、今日の課題と解決策、最新の技術情報等についての講演を行いました。
中国側講師からは、気候変動や人的活動の拡大に伴う水資源に対する圧力増大、それに対する適正緩和策、都市を中心とした水質汚染や洪水問題への取組等について紹介がありました。
日本側からは、レーダー観測技術、廃棄物再生技術、水循環シミュレーション技術等、それら課題解決に資する日本の優良技術の開発・利用状況、政策の考え方等について紹介が行われました。中でも、廃棄物再生技術に対しては、中国側はとりわけ興味をもったようで、開発・導入コストや再生物の安全性等、より具体的な質問が相次ぎ出されその関心の高さがうかがわれました。
更に今回からの企画として、現在、本プログラムを履修する学生が実際どのようなレベルの研究を行っているかを紹介するため、博士前期修士課程1年の学生による報告も行われました。また、具体的な優良技術の紹介を目的として、日本企業によるパネル展示も行なわれました。
今回のシンポジウムは、水環境分野における双方の研究交流や技術協力等の分野や方向性を具体的に考えていくうえでの有益な情報交換の場と同時に、中国での本プログラムを通じた水問題への取り組みを進めるきっかけとなりました。