物理学科談話会のお知らせ
物理学科談話会
講演者:水牧仁一朗 (高輝度光科学研究センター(SPring-8))
題 目:X線吸収を用いた価数変化の直接観測
?ペロブスカイト酸化物(BiNiO3)とスクッテルダイト化合物(SmOs4Sb12)を例として?
講演要旨:
3d遷移金属や4f希土類金属元素を含む化合物群は、反磁性から超伝導まで非常に興味深い物性を示す一群である。それらの化合物のなかには、3d遷移金属・4f希土類元素の価数が温度や圧力などによって変化するものが多く存在する。この価数変化が、電気伝導性や磁性に大きな影響を与えている。これまでは、価数変化を捉えるのに、格子定数や磁化率測定に負うところが多かったが、本講演では、X線吸収測定が直接的で有用であることを示す。観測例を二つあげる。一つはNiペロブスカイト酸化物BiNiO3であり、もう一つは、希土類充填スクッテルダイト化合物SmOs4Sb12である。BiNiO3は圧力により価数が変化する例として、SmOs4Sb12は温度により価数が変化する例として取り上げる。これらの例を通して、X線吸収での価数の直接決定の意義を示したいと思っている。最後にSPring-8の紹介をさせていただく予定である。