NHK首都圏ネットワーク(11/15(水)18:10-放映)にて総合政策学部教授・平野廣和の産学共同研究が紹介されます。特集:首都圏災害に備える「石油タンクの火災防止」
■放映予定
【日時】2006年11月15日(水)18:10~
【番組】NHK総合、首都圏ネットワーク、首都圏災害に備える 「石油タンクの火災防止」
■これまでの経緯
石油コンビナートを多く抱える関東地方では、石油タンクの中の液体が地震の揺れに共振して大きく波打つ「スロッシング現象」を防ぐことが課題となっています。
「スロッシング現象」とは、地震の揺れのうち数秒から10秒程度のゆっくりとしたやや周期の長い揺れにタンクの中の液体が共振するもので、2003年の十勝沖地震ではこの現象が原因で石油タンク上部のふたが壊れ大規模な火災が発生しました。石油コンビナートを多く抱える関東地方(特に東京湾沿岸部の千葉県市原市や神奈川県川崎市周辺)でもこの現象の防止が課題になっています。
2004年9月、中央大学、中井商工(株)、(株)十川ゴムでつくる研究グループでは実際に直径4メートルの石油タンクの模型を使い、この現象を防ぐ技術の開発に向けて実験を行いました。(http://www2.chuo-u.ac.jp/tise/media/20040909hirano/index.html)
この模型実験において、石油タンク上部のふたに揺れを吸収する特殊なゴムを取り付けたところ、液体の揺れを3分の2程度に、また、揺れ続ける時間も4分1以下に抑えることに成功いたしました。
■秋田県男鹿市での実機タンク実験
研究グループでは、この技術の実用化に向けて総務省の助成制度(平成18年度「消防防災科学技術研究推進制度」)を活用して実証実験を行うことになりました。2006年11月に秋田県男鹿市(ジャパンエナジー船川事業所)にある現在は使用されていない直径15.6メートル(1500Kl)の石油タンクを振動させデータを収集することになりました。
こうした大規模な実験は国内では初めてのことで、「実際のタンクを揺らして得られるデータは大変貴重で、スロッシング現象の防止の技術の実用化に向けて大きく前進できると考えている」と、研究グループの平野廣和(中央大学総合政策学部教授)は話しています。
この実験の模様は、NHK首都圏ネットワーク・取材チームにより撮影され、月に一回の防災特集枠で紹介されることになりました。ぜひご覧ください。
※右上の写真は、秋田県男鹿市で実験に使用中のタンクと、実験に協力している中央大学理工学部土木工学科の学生、大学院生の皆さんです。