浦田春生駅伝監督 箱根駅伝の意気込みを語る
「各区間の取りこぼしをなくせば優勝も見えてくる」
今年の箱根駅伝の直後に、3年生以下の新チームが掲げた目標がある。「出雲駅伝6位、全日本大学駅伝3位、箱根駅伝優勝」というものだ。しかし10月13日の「出雲全日本大学選抜駅伝競走」で本学は8位。11月2日の「全日本大学駅伝対校選手権大会」でも同じく8位に終わり、目標を達成できないでいる。
「春から夏にかけ、チーム全体の底上げを目指し練習に取り組んできました。そして秋になって主力層からエース格の選手を育てようと練習を組み立ててきたのですが、いまは2つのレース結果を重く受け止めるしかありません」
こう語る浦田春生監督は、今年4月に田幸寛史前監督からチームを引き継いだ。就任直後の浦田監督が最大の課題と受け止めたのが、絶対的なエースとして活躍し、3月に卒業した上野裕一郎さん(平20法)のあとをどう埋めるかだった。
「エースとは、レースの流れを変えられる力をもった選手」と、浦田監督はいう。「上野は何年かに一人という逸材。彼と同じ役割を別の選手に負わせるのは正直、酷な話です。でもエースがいなくては、優勝争いを演じることはできません。そこで秋のシーズンに入ってから、なるべく多くの選手を大会で走らせるようにしました。エースは本番を経験することでしか育ちませんからね」(浦田監督)
「各選手がどれだけベストを出せるかで結果は変わってくる」と語る浦田春生監督
しかし、監督がエース候補として期待する選手は何名かいるが、思うような結果になっていない。
「駅伝で怖いのは、だれかがブレーキになってしまうこと。逆にいえば、全員が区間5位以内のペースでタスキをつないでくれれば、優勝をねらえるということです」と話す浦田監督だが、出雲駅伝と全日本大学駅伝では、エース候補がことごとくブレーキになってしまった。
だが、明るい話題がないわけでもない。今年の箱根駅伝で、直前のエントリー変更により急きょ山登りの5区を任された梁瀬峰史選手(法3年)。箱根では2位でタスキを受けながら順位を10位に落としてしまったが、出雲駅伝で区間2位、全日本大学駅伝では区間賞と、調子を上げている。
キャプテンの徳地悠一選手(法4年)は、浦田監督に「エースに一番近い」と感じさせる精神面の強さをもつ。5月のインカレ後、ケガのため出遅れていたが、強豪ひしめく全日本大学駅伝の4区で区間5位と健闘。箱根へ向け不安を拭い去ることができた。
浦田監督は「来年の箱根はどこが優勝してもおかしくない。もちろん、中央にもチャンスはあります」という。
「優勝候補の筆頭は、今年の箱根を制した駒澤大でしょう。しかし駒澤大は、万全のメンバーで臨んだ出雲で優勝を逃しました。全日本ではその借りを返しましたが、各大学の力はかなり拮抗しています」(浦田監督)
出雲や全日本に比べ距離が伸びるだけに、一人で走る場面が増える箱根路。「自分の走りに集中すること。そうすれば取りこぼしのないレース運びができ、優勝もぐっと近づいてくる」と、浦田監督。個々の選手がベストを尽くせば、年始に掲げた3つ目の目標達成も見えてくるはずだ。
※本文は中央大学学員時報 第452号に掲載されたものです。
12月5日に行われた中央大学箱根駅伝を強くする会・選手激励会の様子をアップしました。
以下のリンクからご覧になることができます。