「日本復活へ:イノベーションの担い手は?」 理工学研究所 特別講演会
演 題: 日本復活へ
~イノベーションの担い手は?~
講 師: 飯塚 哲哉氏
ザインエレクトロニクス株式会社 代表取締役社長
講演要旨:
日本はいま少子高齢化、国家債務、グローバリゼーションという三重苦を背負いながら、米国のバブル崩壊に始まる世界規模の激動期をどう乗り越えるか、その知恵を試されている。かつての篤姫時代のグローバリゼーションは攘夷から始まって追いつけ追い越せの対応だった。しかし現在のグローバリゼーションとはBRICsなどの発展途上国から追い越されていくという、日本が始めて遭遇している体験とも言える。本来グローバリゼーションとは巨大なチャンスを提供してくれるものであるが、かつてと異なる対応を要求されている訳である。かつて経済大国といわれた日本の市場はガラパゴスとも、縮小する市場ともいわれる。一方急成長する世界市場では激烈な競合の前に日本企業は埋もれつつある。この問題の解なくして、国家債務と少子高齢化の問題は解けない。日本はこのまま沈んで行ってしまうのか。
国家の深刻な苦境とは、しかし何も日本の専売特許ではない。先進国の多くはそれを乗り越えてきている。その最も重要な鍵となったのはイノベーションの創出ではなかったか。日本の苦境もやはりイノベーション創出の担い手を増強することでしか乗り越えることは出来ないはずだ。本講演では、ベンチャーという仕組みを活用した米国の例をあげながら、日本のイノベーションの担い手についての問題を提議し議論してみたい。
講師経歴:
1947年 茨城県生まれ
1970年 東京大学工学部物理工学科卒
1975年 同大大学院電子工学修了、工学博士
1975-91年 株式会社東芝勤務
1980-81年 米国HP社IC研究所駐在
1988年 北海道大学工学部電気工学科非常勤講師
1990-91年 東芝半導体技術研究所LSI開発部部長
1991年 株式会社ザイン・マイクロシステム研究所設立、代表取締役就任
(2000年、ザインエレクトロニクス株式会社に吸収合併)
1992年 ザインエレクトロニクス株式会社設立、代表取締役就任
1993年 東京大学先端研客員教授
2000年 「第10回ニュービジネス大賞」
アントレプレナー大賞最優秀賞受賞
日本半導体ベンチャー協会設立、会長就任
2001年 ザインエレクトロニクス社JASDAQに上場
EOY (Entrepreneur of the Year) JAPAN2001 大賞受賞
2001年 ベンチャー・オブ・ザ・イヤー(日経BP)受賞
2002年 東洋経済賞(アントレプレナー賞)受賞
世界4大監査法人の一つErnst&Youngが主催するWorld EOY
(Entrepreneur of the Year世界大会)に日本人代表として初めて参加
著書:
「脱藩ベンチャーの挑戦」
飯塚哲哉著(PHP研究所)
「アナログ・ディジタル混載システムLSI 低電圧・低消費電力回路技術」
E.サンチェズ-シネンシオ/A.G.アンドレウ共編
飯塚哲哉/浅田邦博共訳(培風館)
「設計言語 Verilog-HDL入門」
D.E.トーマス/P.R.モアビー共著
飯塚哲哉/浅田邦博共訳 (培風館)
「CMOS超LSIの設計」
菅野卓雄監修 飯塚哲哉編(培風館)
「カスタムIC設計技術 ASIC/超LSI技術入門」
P.J.ヒックス編 香山晋/飯塚 哲哉監訳 (総研出版)
「いい仕事、いい人生、 『時間を売るな!』実戦と思考のシナジーを生み出す”1R2E3S”」
飯塚哲哉著(祥伝社)