中央大学理工学部とオリンパス(株)「インスパイア型ユビキタスサービス」の実証実験を開始
中央大学理工学部・ヒューマンメディア研究室(主宰:経営システム工学科教授・加藤俊一)とオリンパス(株)未来創造研究所「インスパイア型ユビキタスサービス」の実証実験を開始 ~ 東京都文京区の観光スポット・店舗情報と「気付き情報」とを融合し、付加価値の高いガイドサービスを提供 ~
中央大学理工学部経営システム工学科(東京都文京区、以下中央大学)・加藤俊一が主宰するヒューマンメディア工学研究室とオリンパス株式会社(社長:菊川剛、以下オリンパス)の未来創造研究所は、2008年2月下旬よりインスパイア型ユビキタスサービス(※)(以下、IUS)の実用化に向けた実証実験を行います。
この実験は、中央大学生約50人を対象に東京都文京区内で当サービスを利用することで、
・目的地を設定し、案内に従って移動する過程で、眼鏡型の小型HMD(※※)(ハードウェア)から提示される現在地の豆知識を得て、行動の幅が広がるか、またそれによって満足感が増すか
・特に目的地を設定せず、利用者の状況や感性に応じてシステムから推奨される観光スポット・店舗情報や豆知識等の気付き情報を得ながら各スポットを回り、充実した時間を過ごせるか
といったシステムの実現可能性、及びコンセプトの有効性等を実証していきます。今後はこの実験結果を分析し、対応エリアの拡大を含めたシステムを早期構築し、4年後の2012年を目処とした実用化を目指します。
※「インスパイア型ユビキタスサービス」:
“Inspired Life”(気付きや発見、感動に満ち、アクティブに生きるライフスタイル)を支援する新しいコンセプトのユビキタスサービス。便利さや快適さだけでなく、その一歩先にある充実感や達成感といった人間的な豊かさを実感できるサービスを目指している。
※※HMD(Head Mounted Display):
頭部に装着する、主にゴーグルやヘルメットのような形状をした表示装置。当社のHMDは眼鏡に装着できるウェアラブルディスプレイ「モバイルEye-Trek〔アイトレック〕」
●実証実験概要
このサービスのシステムは、オリンパスが開発した表示デバイス・センサ群を含む携帯端末と、中央大学が開発した感性工学エンジン(ソフトウェア)、及び東京都文京区内の文京ミューズネットの資料館をはじめ、さまざまなスポット情報のコンテンツDBを含むサーバーによって構成されています。
当該地域(東京都文京区:小石川・本郷・湯島・駒込一帯)を移動中、システム利用者が装着する当社開発の眼鏡型の超小型ディスプレイ「モバイルEye-Trek」(別紙参考資料参照)には、現在地付近のコンテンツが、利用者の興味や状況に合わせて随時自動表示され、店舗や観光スポットなどへのガイドとして役立てられます。
表示される情報には、名所旧跡(小石川後楽園、六義園等)、神社仏閣(護国寺、湯島神社等)、観光スポット(竹久夢二美術館等)の他、レストラン・書店・アミューズメント施設などの店舗情報、さらには、昔ながらの通りや坂などの由来・歴史情報、といったIUSの本分である利用者の知的好奇心を刺激するような情報(気付き情報)なども含まれます。
なお、今回の実験は、文京区および(財)文京アカデミーの協力も得て行われております。
今回の実験で利用した機器・技術、評価結果などについては、3月7~8日に仙台市・宮城大学で開催される日本感性工学会春季大会で発表する予定です。
●オリンパス・未来創造研究所の概要
未来創造研究所は、2003年4月に設立され、オリンパスの経営理念「Social IN(ソーシャルイン)」に基づいて、未来を想像し「未来価値」を創出することを目的としています。
既存の研究開発センターが3~5年先の「将来」の事象を研究しているのに対し、未来創造研究所は5~10年先、あるいはその先の「未来」の事象を研究し、未来事業に向けたコアコンピタンスの探求をミッションにしています。未来創造研究所では、従来のように未来技術を予測して研究開発を進めるのではなく、未来創生という視点から人々の生活価値の創造・実現を目指しています。
●中央大学理工学部・ヒューマンメディア研究室(主宰:理工学部経営システム工学科教授・加藤俊一)の概要
中央大学理工学部経営システム工学科・ヒューマンメディア研究室では、「人にやさしい情報環境」の実現を目指した先進的な研究開発を積極的に進めています。
若者や高齢者、男性や女性、日本人や外国人など、一人一人の感性の違いや、専門家や素人、大人や子供など、一人一人の知識の違いをコンピュータや情報機器が理解し、だれでもが情報サービスを直感的に使いこなせるようにしていきます。
これらの技術を、インターネット・モバイル・ユビキタスの複合的な情報通信基盤の上に展開し、誰もが、いつでも、どこでも、日々の自然な振る舞いを通して、情報環境から適切なサービスが受けられるような情報環境の実現を目指しています。