本学留学生がシンガポールの製造技術に関する国際会議「ICMA07」から論文奨励賞を受賞しました。
タイからの留学生、理工学研究科精密工学専攻博士課程2年のスックサワット・バンディットさんが、5月27日から30日、シンガポールで開かれた「Internationa lConferenceon Manufacturing Automation」(ICMA07)で論文奨励賞を受賞した。ICMAは母体がシンガポール国立大学で、シンガポールの「生産技術者協会」が主催。欧米・アジアの25カ国の研究者・技術者が生産技術や生産自動化などについて情報交換を行う国際会議だ。
この権威ある国際会議でスックサワットさんが発表した論文は「人間優位生産システムの遠隔地技能教育(NewOJT)のための安全システム」。人間優位生産システムとは、生産現場で働く技能者が技能レベル向上に向けた意欲に配慮した人間中心の生産システムであり、以前からスックサワットさんが所属する井原透教授の研究室で研究が続けられている。
「ICMA07で発表したぼくの論文では、このシステムにおける遠隔技能教育支援システムの開発について記述しています。たとえば移動ロボット・コンピュータによる教示システムなどを組み合わせることによって、学習者はあまり緊張することなく効率的な教育を受けることができます。また、学習現場をカメラで監視して学習者とアームロボットとの距離を検出し、接触事故を防ぎます」と、スックサワットさんは話す。
スックサワット・バンディットさんは北バンコク・キングモンクット工業大学(KMITNB)を卒業後、本学との協定校であるカセトサート大学(KU)の農業機械工学修士課程を修了し、博士課程に進学した。そのとき、交換留学試験に合格し、本学では2004年から学んでいる。
「受賞はとても名誉ですが、本当に私一人の力で論文奨励賞をいただいたわけではありません,井原研究室の皆さんのおかげです」
スックサワットさんがタイに帰国すると、母校の北バンコク・キングモンクット工業大学機械工学科講師の椅子が待ち受けている。
「タイでは農業機械工学に中大で学んだ精密工学を融合させた技術分野の教育・研究に打ち込みたいと思っています。タイでの農業機械の生産はまだ小型のものだけで、大型機械の生産はほとんど行われていません。機械の大型化など、タイの農業機械生産の発展に役立ちたいですね」
こう夢を語るスックサワットさんである。(「中央大学学員時報第445号」より抜粋)