理工学部・國井研究室(電気電子情報通信工学科)で製作したロボット「Beetle One」が屋外走行ロボット大会「つくばチャレンジ」に出場します。
理工学部准教授・國井康晴(電気電子情報通信工学科)が主宰する「知能遠隔制御システム研究室」で製作したロボット「Beetle One」が下記の日程で開催される屋外走行ロボット大会「つくばチャレンジ」に出場します。
【日程】
2007年11月16日(金):トライアル走行(100m)
2007年11月17日(土):本走行(1km)
【場所】
茨城県つくば市
※詳細な場所や大会要項については「リンク:つくばチャレンジ公式ホームページ」を御覧ください。
以下、つくばチャレンジ参加にあたり、理工学部准教授・國井康晴にインタビューをしました。
(写真は参加ロボット「Beetle One」)
-つくばチャレンジに参加する目的を教えてください。
いままで、ロボコン等「競技・競争」が数多く開催され、それらはロボット技術の向上に大きな貢献をしてきました。今回のつくばチャレンジは、国内で初めてロボットによる屋外走行技術を磨きあう場となるので、屋外でのロボット制御(フィールド・ロボティクス)について研究してきた知能遠隔制御システム研究室(略称:國井研究室)は、研究室をあげて参加することにしました。
國井研究室は4年生7名が中心となってプロジェクトチーム「Project Before」を立ち上げ、出場ロボット「Beetle One」を製作しています。
-屋外でロボットを動かすことは難しいのですか?
もちろん簡単ではありません。ロボットが自走(ロボットが状況を認識し、考えて、動く)するためには、人間の目にあたる複数のカメラから、周辺環境を認識し、コンピュータで考え、コンピュータが動く指示を与えることとなります。屋外の環境は、日光の加減や風・霧・雨など刻々と変化し、二度と同じ状況はありません(今回の大会は雨天決行)。そうした環境下では、ロボットにいつでも安定的に外部環境を認識させることが一番難しいです。
人間なら簡単に判断できる「壁」と「道路」の違いも、ロボットはその色や形状に差異がなければ同一のものとして認識し、壁にぶつかってしまいます。また、自然環境にある樹木などは、それぞれが非常に似ていています。カメラに複数写ったときに、どれが目標の樹木なのか判断させることが難しいのも屋外自然環境の特徴です。
また、ロボットはあいまいに考えるのが苦手です。例えばロボットの走行記録として「○○メートル」走行したと判断しても、実際はタイヤのスリップ等で走行記録との誤差が必ず生じます。そうした屋外環境で起こりうる問題点についてちゃんと対応しないとロボットを動かすことはとても難しくなります。
-参加ロボット「Beetle One」の特徴を教えてください。
参加学生には、今回のコース(全長1km)を走ることができるロボットではなく、どこでも走ることができるロボットを開発するように指示しています。コースの特徴に合わせて設計すれば目標である完走の可能性がより高くなるのですが、あえて困難な課題を設定し、國井研究室の研究活動としてふさわしい自走ロボットの製作に取り組んでいます。
-研究室の学生に期待することは?
つくばチャレンジの参加が決定したのは、2007年5月初旬でした。それから6月中に「Beetle One」小型版を製作し、技術的な基礎を固めた後に、7月から「Beetle One」の製作に入りました。プロジェクトチーム「Project Before」は、すべて4年生ですので、研究室に配属されてからほとんどつくばチャレンジの準備にかかりきりの状況です。
彼らは、つくばチャレンジが終わったあと、就職したり大学院生として研究室に残ったりと、進路はさまざまです。しかし、今回の出場をとおして、「動くものを製作する」ことに必要な「技術・知識(ロボットを動かすために必要な知識)」「方法(例:部品の選定から購入の方法など)」「考え方(リスクを想定して制約条件下で最善の方法を選択すること)」「仲間と協働で活動する(プロジェクトマネジメント)」の4つをしっかりと学んでほしいと思っています。
でも、一番大切なのは「一生懸命に」「こつこつと」と取り組むことです。どんなに知識やスキルがあっても、中途半端にやっては何事もうまくいかないでしょう。「Project Before」のメンバーはみんな昼夜を問わず製作にあたっています。結果もついてくると期待しています。
-目標は?
もちろん完走です。教育的な成果はもちろん結果も求めています。
-ライバルは?
つくばチャレンジは、ロボット大会といわれていますが、いわゆる「ロボコン」競技とはちがい、スピード等の順位を競うものではありません。あくまで、与えられた課題をクリアする「技術チャレンジ」であり、“優勝”とか“勝利”をめざし、参加者間で競争するわけではありません。ただ、宇宙航空研究開発機構(通称:JAXA)のプロジェクトで一緒に研究をしている明治大学のチームは意識しています。