国際水環境理工学研究ホーチーミン・シンポジウムを開催
2012年11月28日、中央大学「国際水環境理工学人材育成プログラム」(以下「本プログラム」)のコンソーシアム校であるベトナム・水資源大学(ホーチーミン分校)にて「国際水環境理工学研究ホーチーミン・シンポジウム」を開催しました。
このシンポジウムは、2010年の清華大学(中国)、2011年の中山大学(中国)とのシンポジウムを更に発展させ、東アジアの水関連課題とこれらに対する解決策、最新の技術等の情報交換を目的として開催したもので、このシンポジウムの成果を本プログラムのカリキュラムにも反映することにより、より実践的な人材育成に寄与することが期待されます。
今回のシンポジウムには、日本側からは本プログラムの連携企業・公的機関関係者、プログラム履修学生、ベトナム側からは、協定校関係者及び政府関係者など65名が参加しました。
今回は、気候変動のもとにおける治水・利水・水環境分野の技術と政策の今後の在り方をテーマに日越の産学官の関係者が専門的見地から意見交換を行いました。
冒頭、ホスト校の水資源大学(分校)Nguyen Dang Tinh副校長から、このようなシンポジウムを共催できたことは大変喜ばしく、シンポジウムが実りあるものとなるよう期待する。水環境問題は、自国経済や社会の発展にとどまらず、国際局面にも大きな影響を及ぼす問題である。その解決には、多方面の人の協力や科学技術の発展が必要であり、シンポジウムを新たな具体策や活動の形成の契機としたいと挨拶がありました。
続いて、プログラムの取組実施責任者である理工学部山田正教授が、2009年10月の第二回日中韓サミットがこのプログラムの始まりであるが、プログラムは、現在は「キャンパス・アジア」中核拠点支援事業に位置づけられ、拡大された地域で、国際的な水環境分野で必要とされる人材の育成に取り組んでいること、ベトナム水資源大学から2年度に亘り優秀な留学生が派遣され交流が開始されていること、今後は共同研究の実施などを加えた末長い交流を期待すること、今回のシンポジウムがその契機となることを期待したい旨挨拶しました。
続く、基調講演や発表で、日越双方の講師が立ち、今日の課題と解決策、最新の技術情報等についての講演を行いました。
ベトナム側講師からは、ベトナムの経済社会にとって一番深刻な課題となりつつあるメコン川デルタにおける気候変動および海面上昇にともなう課題とそれに対する解決策、中部ベトナムの河岸および海岸浸食に対する保護策及び解決策などにつき研究成果や現況紹介がありました。
日本側講師からは、水資源施設の維持管理、海岸・河岸対策及び洪水対策事例、津波計算技術、水災害関連観測機器の適用事例、メコン川における日本の伝統工法適用事例等について紹介が行われました。ベトナムの水課題を強く意識した対策事例や技術の紹介に、ベトナム側から導入コストやその技術を採用した背景等、より具体的な点についての質問が相次ぎ出され、その関心の高さがうかがわれました。また、共同研究の実施、教員派遣、留学生交換など今後の協力についての具体的な提案もありました。
今回のシンポジウムは、水環境分野における双方の研究交流や技術協力等の分野や方向性を考えていくうえでの有益な情報交換の場であると同時に、ベトナムでの本プログラムを通じた水問題への取り組みを進めるきっかけとなりました。