第七回教育研究ネットワーク会合を開催
2012年8月31日、中央大学理工学部において、国際水環境理工学人材育成プログラム第七回教育研究ネットワーク会合が開催されました。会合には、産官学の関係者30名が参加しました。
今回会合のテーマは、(1)「2013年度外国人留学生大学推薦特別入学試験」の結果と今後のスケジュールに関する報告、(2)2012年度インターンシップに関する実施状況報告、(3)「(仮称)国際水環境理工学研究南京シンポジウム」の案内、(4)水環境関連トピックス等でした。
最初のテーマである「外国人留学生大学推薦特別入学試験」に関し、本プログラムの総括コーディネーターを務める理工学部大平一典特任教授より、中国7名、韓国1名、ベトナム1名、合計9名の優秀な学生が試験に合格し、10月より日本語研修のために来日すること(入学は来年4月)、次回会合で、これら留学生を紹介する旨、報告がありました。これを補足して、取組実施責任者である山田正理工学部教授から、環境と土木を分けて教育を実施する国が増えており、「水環境」を学ぶに際し、「環境」教育のみを受けた学生が留学してくる。他方、日本は環境を土木の中において教育しているが、これは日本の優れた点である。本プログラムでは、こうした人材にも土木に関する教育を施すところがポイントであると述べました。
次に、夏期インターンシップ(対象:民間企業)の実施状況に関し、産学官連携コーディネーターの山村寛特任助教から報告が行われました。山村特任助教は、学生のインターンシップ受け入れに対する企業への謝意を表するとともに、インターンシップを終えた学生から、「プログラムの下で実施されている授業がどんなに現場で役立つのかがわかった」という発言がきかれたこと、後期には、学生たちの授業への取組姿勢が格段に変化するのではないかとの印象を受けたこと等を紹介しました。
続く、「(仮)国際水環境理工学研究南京シンポジウム」については、11月下旬に協定校の河海大学で、「日本・中国の治水・利水・水処理・水環境分野における近年の技術進歩」をテーマに開催を企画中、教育ネットワーク関連企業の多数の参画を期待したいと述べました。
後半の部では、「水環境関連トピックス」紹介が行われました。
最初に山田教授から、「河川工学で役立つ情報」と題して、日本のもつ優良河川技術を知ることができる優良書の紹介、XバンドMPレーダ『XRAIN』の活用、放射線被ばくに関する研究結果等についての紹介がありました。
続いて、「津波による防潮林被害と水理実験による検討」-東日本大震災3.11巨大津波による被害調査-と題して、中央大学理工学研究所・大学院の土屋兼任講師から、防潮林の損壊を軽減することを目的に、防潮林沖側の海浜に消波工を設置して実施した、津波段波による樹林帯内外の流体の挙動の水理実験とその検討結果につき紹介がありました。
3番目に、「超過洪水対策検討に関する一考察」と題して、 (財)国土技術研究センターの湧川研究主幹から、治水計画の検討に当たり、潜在的であった不確実性)を顕在化させる動きの中で、これに対処するために、起こりうる可能性のある洪水全てを対象に、浸水被害最小化を目的とする治水計画の考え方について整理の必要性とそれに関する課題について紹介がありました。
最後に、「極値降雨の統計的発生特性について」と題して、中央大学理工学部事務室岡部教育技術員より、洪水災害や土砂災害等の直接の要因となる年最大値を記録するような極値降雨の発生特性を解明するための、各雨量観測所における極値降雨の実測データを用いたスペクトル解析とその経年変化についての検討結果が紹介されました。