公開研究会のお知らせ
◆講師:Wang, Celine氏(パリディドロ大学准教授)
◆テーマ:「中国におけるJ.J.ルソーの影響(1898年から1949年まで)」
19世紀末に日本を通して中国にもたらされた『社会契約論』は中国で翻訳・流布された最初のヨーロッパの作品のひとつであったが、中国史の決定的な瞬間にこの上なく激しい論争を惹起した作品でもあった。近代国民国家建設のための基本的理論と見なされた『社会契約論』は、帝国システムを終焉させた1911年の革命の主要な霊感源となった。中華民国(1912年から1949年)の下では、ルソーの政治思想は以前ほど支配的な役割を演じなかったとはいえ、彼とその作品は改革主義者と革命家を対立させる論争の対象であり続けた。当時は、単にルソーの政治論のみならず、文学と教育作品を通して彼の生涯と人となりもまた、中国の読者の心を動かした。共産主義体制下では、殆どの外国作品が禁止されていたが、フランスの哲学者(ルソー)の政治論文は翻訳が許された数少ない作品に属していた。ただし彼の文学作品は禁止されたままであったが。ここ30年前からルソーは中国の知識人たちの間で関心を呼び、政治、文学、法学、環境の分野で再び論争の的となっている。今回の報告は、現代中国に対するルソーのインパクトを分析しながら、中国におけるルソー受容・グローバルなヴィジョンを提出することを目的とする。
◆企 画:人文科学研究所 研究会チーム「ルソー研究」