文学部特任准教授 名木橋忠大 著 『立原道造の詩学』 (新刊紹介)
『立原道造の詩学』
双文社出版 2012年7月刊行
ISBN 978-4-88164-610-6 4,000円(税別)
◆双文社出版オンライン図書目録より
建築と詩の交通
パステル画から、映画、新古今和歌、建築美学へ。
立原道造の、言葉が互いに絡み合う巧緻な語法はいかに建設されたか。
ソネットが造詣する構造美のありかと設計の秘密を解き明かす。
◆帯より
立原詩の原理と精神の究明
「以上」へ。「ほんたうのふるさと」へ。
彼の美しきソネットにはその精神が結晶する。
宮沢賢治、中原中也への対峙。堀辰雄への別離。
芳賀檀への親炙。丹下健三への友情。そして加藤周一へ。
昭和初期の若き教養派・立原道造の全容。
◆目次 —– * —– * —–
序
第一章 立原的語法の出発 ―パステル画・短歌・映画的手法
一 生活詠短歌とパステル画
二 夢の状態で/を書く
三 「フラツシユバツク」
四 「オウヴアラツプ」
第二章 立原的語法の特色 -宮沢賢治・『四季』後継者たちとの比較を通して
一 宮沢賢治への対峙
二 宮沢賢治との思想的共通性
三 融和状態の形象化
四 模倣者の立原調
第三章 立原的語法の由来 ―新古今的語法の受容
一 「主部述部+副詞句+主部述部」の機構
二 リルケ翻訳
三 新古今和歌
四 「主部+述部+主部」の機構
第四章 立原詩における和歌引用 ―近代新古今和歌評価の中で
一 立原和歌引用の問題点
二 和歌引用・明示の有無
三 本歌取り否定論
四 精神としての本歌取り肯定論
第五章「変様」の力学 ―芳賀檀の受容・中原中也への対峙
一 「対話」のありか
二 芳賀檀への接近 「以上へ」・「血統」・本歌取り
三 「変様」の表現としての「対話」
四 中原中也への視線
第六章 建築と詩の交通 ―「方法論」の解読
一 ベッカー『美の果無さと芸術家の冒険性』における「中間者」
二 「方法論」緒論~第三章・空間的建築体験
三 「方法論」第四章~第五章・時間的「建築体験」における「中間者」
四 建築と詩の交通
第七章「ほんたうのふるさと」をもとめて ―共同体の希求
一 丹下健三「MICHELANGELO頌」と理想郷
二 「ほんたうのふるさと」という理想郷
三 立原道造の帰趨
四 その後の立原道造へ
第八章 加藤周一と〈立原的なるもの〉の戦中戦後
一 「星菫派」たち
二 戦時下の象徴詩「詩法Ⅰ」・普遍的外部への視線
三 戦時下の抵抗詩
四 戦後の象徴詩「愛の歌Ⅰ」・社会的現実への視線
跋
—– * —– * —–