公開研究会のお知らせ
◆講 師:栗原 健氏 (アメリカ・フォーダム大学史学部客員研究員)
◆テーマ:中世オランダ語版「アーサー王物語」の世界 -『ランスロ集成』と『ワルウェイン物語』をめぐって
13世紀から14世紀にかけてネーデルラントでは、フランスの影響を受けて多くの「アーサー王物語」が生み出されていた。それらの作品の中には他に見られない独自のキャラクターが登場するなど、研究者にとって貴重な情報が数多く含まれているが、中世オランダ語という言語の壁に阻まれて近年まで本国以外では研究が限られていた。本報告では『ランスロ集成』(1330年頃編纂)並びに『ワルウェイン物語』(13世紀中頃に完成)を中心に、フランドル・ブラバント地方におけるアーサー王文学の魅力を見て行きたい。特に、フランスの作品との相違点、黒人騎士が活躍するストーリーなどネーデルラント作品のオリジナル性、また「死者の恩返し」、「狐の助っ人」といった随所に見られるフォークロア的モチーフに注目したい。
◆企 画:人文科学研究所 研究会チーム「アーサー王物語研究」