〈起案術〉から〈起案学〉へ―国際契約の〈起案学〉をアメリカ契約法に基づき体系化/総合政策学部教授・平野晋が研究成果として出版
「アメリカ契約法」研究において体系的学術書(※1)を2009年に発表した中央大学総合政策学学部教授の平野晋(※2)は、隣接領域である英文契約の「起案学」の研究と体系化に取り組んで参りましたが、その研究成果がこのたび以下の書籍にまとまり出版されましたのでご案内いたします。
【書 名】 国際契約の〈起案学〉―法律英語の地球標準―
【出版社】 木鐸社(ぼくたくしゃ)
【出版日】 2011年1月25日
英文契約書の「起案」(ドラフティング)は、これまで主に、法職専門家の間の「術」として伝承されておりました。しかし、非常に詳細化した契約書起案を通じて、世界的にも高度化が著しいアメリカの契約書が国際・英文契約のグローバル・スタンダードになるにつれ、その起案方法も高度専門職大学院(ロースクール)の正規科目として体系的に教育され、かつこの分野の学術研究もアメリカでは盛んになって参りました。
本書は、そのように理論化・高度化されてきたアメリカの「起案学」を研究し、その学術成果を日本で初めて体系化したものです。
そもそも起案学は、利害関係者の権利・義務を直接的に規律する「実学」なので、契約法の知識や法務経験が非常に重視されることは当然です。しかしこれをより洗練させるためには、論理学や修辞学、言語学や歴史的背景等の基礎的知見も応用する必要があります。
本書の特徴は、筆者の長年の実践的な国際法務経験に加えて、学際的かつ総合政策的な研究姿勢に基づき諸学問分野の知見も応用して、より良い権利・義務関係の構築を試みた点にあります。
具体的には、英文契約の歴史的・文化的な発展・背景にも言及しながら、現代においても多用されている古典的な専門用語の意味や語法を解説するだけではなく、それらの問題点にも言及し、かつその解決策も具体例を示しながら紹介している点にあります。
(※1)
『体系アメリカ契約法―英文契約の理論と法務』(中央大学出版部2009年)
(※2)
中央大学総合政策学部教授・平野晋の専門は民事法学、サイバー法学。
製造物責任法と不法行為法、インターネット法、アメリカ契約法、などをテーマに研究を進めています。