公開研究会のお知らせ
講 師:平島 直一郎氏(西南学院大学非常勤講師)
テーマ:『クアルンゲの牛捕り』の写本伝統についてt
古アイルランド語の物語『クアルンゲの牛捕り(T?in B? Cuailnge)』はアイルランド文学の中で最も重要な作品であり、長い間高い人気を誇ってきた。その結果さまざまな稿本が存在し、現存する12世紀初頭に成立した最古の写本から19世紀に成立した写本に至るまで、およそ80余りの写本の存在が知られている。今回はこの物語の内容を簡単に紹介し、稿本間の主な相違点を挙げるとともに、昨年出版されたこの分野における最も新しい研究、H.L.C.Tristram先生(Universit?t Freiburg)の論文“Die handschriftliche ?berlieferung des altirischen Prosaepos ?ber den ?Rinderraub von Cuailnge?(T?in B? Cuailnge)“ (N. N. Kasanky編, Acta Linguistica Petropolitana / Transactions of the Institute for Linguistic Studies, vol. VII, part 1, 所収、St. Petersburg: Nauka, 2011, 465-507.)を軸に、800年に及ぶ写本伝統の推移と研究の展開を追ってみたい。