理工学部准教授 片山 建二のグループの論文が国立王立化学会誌の表紙をかざりました
理工学部准教授(応用化学科) 片山 建二の研究成果が、英国王立化学会発行のPhysical Chemistry Chemical Physics誌に掲載され、表紙を飾りました。英国王立化学会は、1841年創設のロンドン化学会に端を発するヨーロッパ最大級の化学学会です。Physical Chemistry Chemical Physics誌は物理化学分野の世界のリーディング学術誌であり、最新の研究成果を掲載しています。
掲載された論文のタイトルは"Reaction kinetics of dye decomposition processes monitored inside a photocatalytic microreactor"(光触媒マイクロリアクター内で観測した色素の分解反応の反応速度解析)であり、著者は土屋尚美さん(修士1年)、桑原健太君(修士1年)、日高明日菜さん、小田教代さん(卒業生)です。
光触媒反応とは、酸化チタンなどの材料に吸着した有機物が紫外光照射によって分解される反応のことです。近年では、建材や道路の側壁などにコーティングされて、太陽光に含まれる紫外線を利用して表面の清浄を保つなど様々なところで実用化されています。
このように実用化が進展する中、光触媒反応には様々な反応活性種がかかわっており、反応機構が理解されていませんでした。本論文では、微小管壁に光触媒材料をコーティングした光触媒マイクロリアクターを使って、内部の微小領域から観測される蛍光を用いて反応を解析することで、反応中間体をとらえることに成功し、反応機構を正確に理解することに成功しました。また、これまで光触媒材料評価の標準物質として知られている色素が不適当であることを明らかにしました。