研究開発機構教授 檜山 爲次郎が2012年度フンボルト賞受賞者に決まりました
研究開発機構教授 檜山 爲次郎(ひやま ためじろう、安定化学結合の活性化触媒開発ユニット)の功績が認められ、2012年度“フンボルト賞”を授与されることになりました。
フンボルト賞は、1860年に起源を発する歴史あるドイツの財団 “アレキサンダー・フォン・フンボルト財団”が創設した賞であり、ドイツではもちろん世界でも最も権威のある賞の一つとされています。学問分野の区別なく、新発見や新理論の提唱などによって顕著な功績を挙げ、さらに今後も最先端の成果を挙げることが期待されるドイツ国外の研究者に対し授与されます。受賞候補者は、ドイツ国内の有識者あるいは過去の同賞の受賞者の推薦によって選ばれます。小柴 昌俊氏をはじめ、本賞の受賞者のうち実に48名が後にノーベル賞を受賞しており、「ドイツのノーベル賞」とも称されています。
檜山は、構造が異なる有機分子どうしを結合させて新たな化合物を生み出す炭素-炭素結合形成反応について長年にわたり研究に携わっており、これらの研究の成果が高く評価され今回の受賞となりました。なかでも、1988年に開発した“檜山カップリング”は、2010年度のノーベル化学賞受賞対象となったカップリング手法に比べ、穏和な条件下でクロスカップリング反応を行うことを可能としています。この反応で用いるケイ素反応剤は反応後の回収・再利用が可能であるうえ、ケイ素の置換基すべてが有機基であるため極めて安定であり、長期保存が可能となりました。
また、野崎 一氏・岸 義人氏らとともに開発した、塩化クロム(Ⅱ)を用いるハロゲン化物とアルデヒドの反応(野崎・檜山・岸の頭文字から“NHK反応”と呼ばれています)は、構造の複雑な生物活性天然物の全合成において世界的に大きく貢献し,医薬品の強力な製造方法として注目されています。
授賞式は3月22日から24日にかけて、ドイツ・バンベルクにて行われます。同財団は、世界中の研究者にドイツでの研究の機会を与えており、檜山においても現地研究者と1年間の共同研究の機会が与えられます。
主な経歴
1969 京都大学工学部工業化学科 卒業
1971 京都大学大学院工学研究科工業化学専攻 修士課程修了
1972 京都大学大学院工学研究科工業化学専攻 博士課程中退
1972 京都大学工学部 助手(野崎一教授)
1975 博士号取得
1975 ハーバード大学化学科 博士研究員(岸義人教授)
1981 (財)相模中央化学研究所 班担当・副主任研究員
1983 (財)相模中央化学研究所 班担当・主任研究員
1988 (財)相模中央化学研究所 班担当・主席研究員
1992 東京工業大学資源化学研究所 教授
1997 京都大学大学院工学研究科 教授
2010 中央大学研究開発機構 機構教授
現在に至る