国際水環境理工学教育研究ネットワーク第三回会合を開催
2011年10月18日、中央大学後楽園キャンパスにおいて、35名の参加を得て国際水環境理工学教育研究ネットワーク*第三回会合が開催されました。
今回の会合では、(1)夏季インターンシップ、(2)留学生2次募集への応募状況、(3)協定大学との研究交流会の開催等に関する報告とゲストによる講演「中国の水問題 現状と今後の課題」が行われました。
最初に、8月に2週間、本プログラムにて連携する民間企業4社のご協力を得て実施された夏季インターンシップについて、「国際水環境理工学副専攻」を履修中の博士前期課程一年次5名からインターンシップの概要とそれを通じて学んだことについての報告がありました。
5名は全員が河川系を専門とする学生であったことから、この分野に強い4社(株式会社建設環境研究所、株式会社建設技術研究所、清水建設株式会社、株式会社東京建設コンサルタント)にインターン受け入れをお願いしました。実習場所は、建設現場、研究所内、フィールド(河川)と様々でした。
この報告会には、受入企業の方も参加され、学生は、一様に緊張した面持ちで、発表を行いました。
学生からは、「大学で学んだ理論がどのように現場での実践に結びついているのか、関係性を確認することができた。」「現場で働く多様な人をまとめあげ業務を完遂するためには、コミュニケーションのタイミング、頻度、内容、方法などに留意した、円滑なコミュニケーションが重要である。」「職業人の目配りの仕方(視点の高さ、広さ、深さ)に驚いた。」など、多くの学びにつき報告がありました。
受入企業の方からは、「初めて、かつ、熱中症の生じやすい熱い時期のインターン受け入れであり、学生が実習を十分にこなせるか心配であったが、無事完了できた」という見守る側の苦労が述べられたのが印象的でした。報告発表に対しては、プレゼン内容や資料の一層の充実につき、指導教授より助言がなされました。
インターンシップは冬季にも2週間実施する予定で、派遣先は行政機関となります。
次に、「中国の水問題 現状と今後の課題」と題して、2005年7月から2007年6月まで、中国水利人材養成プロジェクトチーフアドバイザー(JICA技術協力専門家)として、中国で活躍された池田鉄哉氏による講演が行われました。
国際水環境理工学人材育成プログラムは、中国や韓国などの国々と関係が深いことから、これらの国の水環境問題について、体系的に知っておくことが重要との考えの下、池田氏に講演をお願いすることになりました。
池田氏は、中国では、水不足、水質や生態の悪化、水災害の長期化とその被害の甚大化、水土保持能力の低下など多くの水問題が生じ、それが深刻化していること、2030年を境に、水の需要が供給を上回る可能性が大きいこと、日中関係においては歴史問題で摩擦も起こるが、日本を信頼・評価している人も多く、水課題に関し、継続的な協力関係維持が重要であると述べられました。
続いて、外国人留学生大学推薦特別入試2次募集への応募状況他について、プログラム総括コーディネータの大平一典特任教授より、進捗状況につき説明が行われました。
最後に、プログラムの取組実施責任者である山田正教授より、水問題に関して、「第6回世界水フォーラム」(2012年3月)「グリーン産業開発支援国際会議」(2011年11月)など重要会合が多く予定されている。水問題への取組はこうした国際場裡で、大きな流れが決定されていくところ、これらの動きにも注目頂きたい。また、広く門戸を開いている会合もあり、可能であれば、ご参加頂きたいと述べ、会議を締めくくりました。
*「教育研究ネットワーク」とは、産学官の連携により国際水環境理工学人材育成プログラムを推進するための組織で、具体的には、プログラムの運営、教育カリキュラムの開発、インターンシップ実施及び発展を支援することを目的としています。会合での議論は、プログラムの充実・発展に反映させることを目指しており、多くの産業界の方々の参加をお願いしています。
教育研究ネットワークは自発的意思により参加をする会員により構成されています。現在、23の組織の方に支援を頂いています。