理工学部教授 船造俊孝が 化学工学会「實吉雅郎記念賞」を受賞しました
理工学部応用化学科 環境資源工学研究室の 船造俊孝教授が 平成21年度化学工学会 「實吉雅郎記念賞」を受賞しました。
研究題目は
「超臨界流体中における拡散係数の測定と相関」です。
超臨界流体とは、その物質の臨界点より高い温度、高い圧力の状態の流体をいい、液体と気体の中間の密度を持つため、液体なみの高い溶解力と気体に近い高い拡散性を有する。この特異な性質を利用して、さまざまな分野への応用が期待されている。特に、超臨界二酸化炭素は香料などの天然物の抽出溶媒や、各種化学反応について、有害な有機溶媒に代わる代替溶媒として、超臨界アルコールはポリマーのケミカルリサイクルの反応溶媒として、超臨界水は有害化学物質の分解反応などの反応溶媒として期待され、さかんに研究されている。このような超臨界流体中で、種々の物質が広がっていく速さは、フィックの法則で表される。これは、物質が分子運動により移動する速さが、その物質の濃度勾配に比例するというもので、その比例定数が拡散係数である。拡散係数は物質の拡散する速さの程度を表し、化学装置設計や反応のシミュレーションなどに不可欠な物性値のひとつである。超臨界流体中の物質の拡散係数は、高圧のため高い精度の測定は難しく、測定は非常に限られていた。氏は、新たに非定常応答法による測定法を開発し、その方法を用いて超臨界二酸化炭素中におけるいろいろな物質の拡散係数を測定し、その推算方法を確立した。
この賞は化学工学に関する新規性に富む優れた研究、もしくは特に完成度の高い優れた研究で、学術論文誌に発表されたものに与えられ、今年度3名の方が受賞されています。