「伝説の判事」吉田久(本学の前身東京法学院大学卒業)の半生をつづった「気骨の判決」がNHKスペシャル(8月16日夜9時~)で放送予定
軍国主義真っただ中の昭和17年に実施された衆議院議員選挙は、「翼賛選挙」とも呼ばれる。政府のお墨つきを得た候補者の約8割は当選し、非推薦候補は徹底した妨害工作を受けて多くが落選した。この理不尽さを司法に訴えた落選者を救ったのが、大審院第三民事部の裁判長、吉田久である。
この「伝説の判事」の半生をつづった『気骨の判決』(清水聡著、新潮新書)が、NHKでドラマ化され8月16日に放送されることになった。
クライマックスは、昭和20年3月の判決シーン。法衣をまとった小林薫演ずる吉田が<昭和一七年四月三十日施行セラレタル鹿児島県第二区ニ於ケル衆議院議員ノ選挙ハ之ヲ無効トス>との主文を読み上げるシーンには感動すら覚える。
福井県の貧しい八百屋に生まれ、働きながら本学の前身である東京法学院に通って勉学に励んだ吉田。卒業後、司法試験に合格し、明治38年に司法官補として水戸地方裁判所に任官している。
吉田判事の生きざま、人間性こそ中央大学創立の原点であり伝統である。