外国人研究者講演等実施報告(ドイツ語文学文化専攻)
外国人研究者による講演等を行いましたので、報告いたします。
(文学部教授 高橋慎也受入れ)
【研究者氏名】
Arokay Judit (アロカイ・ユーディット)
【所属機関】
Univ.Heidelberg, Institut fuer Japanologie
(ハイデルベルク大学 日本学研究所)
【職名】
Professor (教授)
1.公開講演会
【実施日】 7月9日(木)
【テーマ】 日本文学のドイツ語訳に関する課題・・・源氏物語を例にして
【参加人数】 80名
【講演の概要】
源氏物語のドイツ語訳は英語訳からの重訳として始まった。文学翻訳ではただ
意味をドイツ語に移すだけでなく、現在使われているドイツ語の自然な流れを
損なわないように訳すことが求められる。源氏物語の最初のドイツ語訳は
兼松謙澄による英語訳を元にしていた。Mueller-Jabuschのドイツ語はあいまいな
日本語表現をはっきりした表現に変更している。出版部数の点ではHerlitschka訳
のものが一番多い。しかし原点に忠実で優れているのは1966年に出版された
Benl訳である。彼はことばのリズムを調整し和歌のドイツ語訳を行った。また
源氏物語を漫画化した『あさきゆめみし』も1992年にドイツ語訳が出版された。
まだ日本漫画ブームがドイツで始まる前であったこともあって広く読まれるには
至らなかったが、日本の漫画の構図や読み方の特徴を先駆的にドイツに紹介
した。
アロカイ教授による上記の内容の講演の後、学生と教員からさまざまな質問が
出されアロカイ教授と盛んな質疑応答を行った。学生は1週間後に講演に
関するレポートを提出した。
2.シンポジウム
【実施日】 7月25日(土)
【テーマ】 日本文学におけるインターテクスチュアリティ研究の可能性
【参加人数】 30名
【講演の概要】本シンポジウムは本学文学部の国文学専攻とドイツ語文学文化
専攻の共同主催として実施された。発表者と発表タイトルは以下の通りである。
ユディット・アロカイ教授:詩歌ジャンルを超える和歌、吉野朋美准教授:
『新古今和歌集』の中の『伊勢物語』、宇佐美毅教授:村上春樹『1Q84』と
インターテクスチュアリティ、高橋慎也教授:野田秀樹のロンドン三部作の
越境性
これらの発表を通してインターテクスチュアリティという観点から日本の
古典文学と現代文学を研究する可能性について相互の知見を交換した。
またそれぞれの発表の後に聴衆の教員・学生とも活発な質疑を行った。
3.セミナー
【実施日】 7月6日(月)
【テーマ】 ハイデルベルク大学の日本文学教育
【参加人数】 30名
【講演の概要】高橋慎也教授担当の「基礎演習(2)」の時間を使用し、ハイデル
ベルク大学の日本学研究所の教育目標と教育システムに関するセミナーを
実施した。また本学のドイツ語文学文化専攻の教育目標と教育システムを
対比し、両者の共通性と相違性について学生たちと意見交換をした。
4.セミナー
【実施日】 7月13日(月)
【テーマ】 ハイデルベルク大学日本学研究所の日独文化交流システム
【参加人数】 20名
【講演の概要】高橋慎也教授担当の授業「異文化交流演習」の時間を用いて
アロカイ教授と共同セミナーを開催した。テーマは上記の通りである。
アロカイ教授がハイデルベルク大学日本学研究所の日独文化交流の目的と
システムについて説明し、高橋教授とともに中央大学とハイデルベルク大学
との比較を行った。また学生と質疑応答を行った。
以 上