金融庁のパブリックコメント「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)(案)」についてコメントを行いました
IFRS に関する教育体制の整備に関して
中央大学専門職大学院国際会計研究科
(研究科長:小関誠三)
東京都新宿区市谷本村町42-8
2012年のIFRS強制適用を前提としてその準備期間(約3年)を考えると、IFRS の導入普及に関する教育は、喫緊の問題として認識されるべきと思われる。同意見書も、「2. 我が国におけるIFRSの適用に向けた課題と取組」の中で、その課題の一つとして、この教育・訓練問題を取り上げ、教育機関と公認会計士や当局との連携の重要性を指摘している。
現段階では、IFRSによる財務諸表を作成している日本企業が少数に留まっており、IFRS実務経験のある企業担当者が限られていることを考えると、このような教育は必要不可欠であるが、同時に日本国内には、そもそも会計関係者全般についてIFRS経験者が少なく、教育担当者が少ないことも事実である。よって、応急の措置として、外国人の会計担当者や会計士を招聘し、教育体制を緊急に構築せざるをえない可能性が高いと考える。中央大学専門職大学院国際会計研究科は、そのような外国人講師による講座を従来から開講してきた。今後、このような方向性を強化し、海外の会計士および会計学研究者を積極的に招聘する予定であるが、他の教育機関においても産学官が連動してIFRSの実務教育を行い、強制適用後の企業実務を担う人材を多数養成していく体制を整備していくことが、早急に求められる。
また、IASC財団は、現在、教育・普及の側面に力を入れており、IAAER(International Association of Accounting Education & Research)やAAA(American Accounting Association) などの学会との共同で世界各地においてセッションを開いている。我が国においても、関係当局や会計士協会および学会などと、このIASC財団との積極的な交流を行い、委員会を立ち上げるなどして、上記の実務家教育の整備において他国の教育ノウハウを取り込んでいく体制作りが早急に望まれる。この交流を基盤として、大学や大学院などに教育コンテンツや教育方法の集積が図られ、今後の教育体制がよりグローバルな視点から構築されるものと思われる。一方で、国内の会計専門家の資格試験(公認会計士試験や各種会計関連の資格試験)にIFRSがどう反映させるのかについては、我々の行っているIFRSに関する教育の内容に影響を与える可能性があるため、今後議論を注視したいと考えている。
以上