【中央大学 2008年度 第一回 特別講演会】
演 題: ミトコンドリアのちから
~生体内酸化還元反応と水素分子による坑酸化治療・予防医学~
講 師: 太田 成男 教授
(日本医科大学大学院 v医学研究科/老人研究所v加齢科学系専攻v細胞生物学分野 教授)
講演要旨:
生体内ではミトコンドリアという細胞小器官で酸化還元反応を利用して生体エネルギーを生産している。
その酸化還元反応に伴いミトコンドリアの内膜から、ある頻度で電子が漏出され、その電子が酸素と結合することでスーパーオキシドという活性酸素が生じる。スーパーオキシドが過酸化水素をへてヒドロキシル ラジカルという酸化力に富む活性酸素に変換される。ヒドロキシルラジカルは遺伝子、蛋白質や細胞膜を酸化変性させるので、生活習慣病、v老化や癌の原因のひとつとなる。酸化力の強い活性酸素の過剰生産は酸化ストレスを引き起こす。酸化ストレス亢進モデルマウスを遺伝子工学的に作製すると、酸化ストレスの亢進だけで認知症と良く似た症状をあらわすことができた。また、ヒドロキシルラジカルを水素分子が消去することを見いだし、抗酸化治療、抗酸化予防医学に利用しようとしている。
講師経歴:
1974年 3月 東京大学理学部 卒業
1979年 3月 東京大学大学院薬学系研究科修了
1979年 4月 群馬大学医学部助手
1980年 6月 同 講師
1981年12月 スイス国バーゼル大学バイオセンター研究所研究員
1985年 2月 自治医科大学講師
1991年11月 同 助教授
1994年10月 日本医科大学老人病研究所 教授 現在に至る
2002年 4月 2006年3月 同所長兼任
2003年 4月 大学院加齢科学系専攻細胞生物学分野 教授
現在に至る
主要研究領域: 分子細胞生物学、ミトコンドリア学
主要著書:
ミトコンドリアと生きる 瀬名秀明、太田成男 共著 2000.12角川書店
ミトコンドリアのちから 瀬名秀明、太田成男 共著 2007,8 新潮文庫