【中央大学ミニワークショップ】2007 代数曲線暗号を巡って
主催:中央大学理工学研究所附属応用数理研究センター
共催:中央大学理工学研究所
公開鍵暗号に用いられている楕円曲線を、超楕円曲線あるいは
スーパー楕円曲線に拡張する研究がなされ、ペアリングについても
一般代数曲線への拡張の試みがなされています。
この研究集会では、一般代数曲線を用いたアルゴリズムの
可能性について、その一端を研究・討論したい考えでおります。
皆様のご参加をお待ちしております。
【プログラム】
●10:00–11:00 橋詰 直紀 (中央大学大学院)
“奇標数3次拡大体上の楕円曲線暗号に対する GHS 攻撃の実装”
[概要]
近年, 楕円曲線を利用することによって, 従来の暗号方式
と同程度の安全性をより短い鍵長で実現できる楕円曲線暗号が注目
されている. しかし, 2000年 Gaudry, Hess, Smart によりその
安全性を脅かす攻撃法としてGHS 攻撃が提案された.本研究では,
奇標数3次拡大体上定義された楕円曲線の場合のGHS 攻撃の具体的
な攻撃法を示し, その計算例も示す.
●11:15–12:15 飯島 努 (光電製作所)
“GHS attackによって攻撃される楕円・超楕円曲線の class に関する一考察”
[概要]
Weil descentによって攻撃される d 次拡大体 k_d/k
(k:=mathbbF_q)上 , 楕円・超楕円曲線 C_0/k_dと
その weak covering C/k の分類が, g(C)=d・g(C_0)
の場合についてすでに行われている.本発表では, 暗号に使用される範囲で
g(C)=d・g(C_0) + e (e>0) となる場合について, その考察を行う.
●12:15–13:30 昼休み
●13:45–14:45 三浦 晋示、關口 力 (中央大学)
“C_{ab} 曲線の Picard 群への Cantor アルゴリズムの拡張について”
[概要]
超楕円曲線の Jacobi 群の加算アルゴリズムは、Cantor により、
因子類(イデアル類)を Mumford 表現を用いて表した高速な
アルゴリズムを実現している。そのアルゴリズムは、多くの人
によって、より高速化の改良がなされている。Mumford 表現の
本質は xy-座標によるイデアル類の表現であり、ここでは
一般の曲線について、C_{ab} モデルを用いイデアルの xy-座標
に基づく二つの生成元を用いた、Cantor アルゴリズムの拡張を与える
ものであり、Gr oe obner 基底を極力用いないアルゴリズムを提案する。
●15:00–16:00 高島 克幸 (三菱電機情報技術総合研究所)
“楕円曲線間の同種写像の暗号応用”
[概要]
これまでも SEA 位数計算法を始めとして、同種写像の計算は
暗号に種々応用されてきた。本講演では、超特異楕円曲線間の同種写像を
暗号に応用した最近のトピックに関していくつか紹介する。
ペアリング暗号との関連も述べる予定である。
●16:15–17:15 岡本 龍明 (NTT 研究所)
“ペアリングを用いた匿名認証について”
[概要]
プライバシー保護と本人確認という相反する要件を同時に実現する
技術として匿名認証(anonymous credentials)がある。匿名認証を効率的に
実現するために楕円曲線/代数曲線上のペアリングが有効に利用される。
ここでは、匿名認証の実現に適したペアリングに基づく署名方式を紹介し、
それを利用してどのように匿名認証が実現できるかを紹介する。
連絡先:
中央大学理工学部数学教室
關口 力
sekiguti@math.chuo-u.ac.jp
Tel. 03-3817-1748