理工学部教授 加賀野井秀一が読売新聞で「若者言葉」を通して若い世代にエール
理工学部教授 加賀野井秀一が、2007年7月20日付の読売新聞で、大人社会への批判が込められている「若者言葉」を通して、社会の”とばっちり”を受けている若い世代にエールを送っています。
※この記事は、読売新聞社の許諾を得て転載しております。また、無断で複製、送信、出版、頒布、翻訳、翻案等著作権を侵害する一切の行為は、禁止されております。
どの時代の若者言葉にも共通する特徴がある。一つは、従来の言葉で言い表せない若者ならでは感性を表現している点。二つ目は、自分たちの仲間意識や連帯感を作っている点。三つ目は大人社会への批判が込められている点だ。
最近は、与謝野晶子の「みだれ髪」にちなんで、乱れた髪型をさす「与謝野る」など感性が光るものや、仲間意識を見事に表現したものが目につく。
その一方で、三つ目の要素が乏しい。批判や反発を表現するには独自のモノの見方や論理性が必要だが、そうした面が弱いと感じる。
つまり、感性や連帯感は磨いているが、仲間内だけに閉じこもっていて、大人社会のつまらなさや薄汚さを壊してやるぞとというメッセージが発信されていない。例えば以前ヒットした「あぶらギッシュ」には、モーレツ社員の中年男性を揶揄する冷めた目線があっておもしろかった。
若者にフリーターや非正規雇用が増えて二極分化するなど、若い世代は社会の”とばっちり”を受けている。そうした世間のからくりを理解するには、「ウザイ」「ムカツク」といった言葉だけでなく、ネクラでダサイと思われる論理的言語も持つ必要がある。
私が若者言葉に注文をつけるのは、社会の問題を提起していく力があるのは君たちだという期待があるからだ。